その光景は、ここ最近おなじみになっている光景だった。
大して珍しくもない、そんな街の日常。


03.アレって言ったらアレだよ


「イソレナさん、飲みに行きませんかー?」
123番地の主人パッチーがそう声をかける。
何だかんだで番地が近い間柄。
パッチーが街に帰ってきてさえいれば、このようなお誘いも日常としてあるものだった。
「あー、すんません。今日はアレがありまして……」
「アレ?」
パッチーは首をかしげる。
イソレナがパンドラボックスということは、戦闘ばかりがやるべきことというわけではないが、既に時刻は夕方過ぎ。
この時間からやることというものはあまり心当たりがないのに、まるで分かりきった答えかのように『アレ』という表現をされたのだ。
つい聞き返すのは、当然の理だろう。
「ええ、アレです」
「そっかー、あれですかー」
ハハハハハと笑い声。

「ええ、嫁とイチャラブするというアレがありますから」
「よし決闘だ表に出ろリア充爆発しやがれ」

こうして、命を賭けた決戦が再び繰り広げられるのだった。



END




「で、この話のオチはどうなったんですか?」
「イソレナさんが辛勝して、その日の夜は羽堂さんがドラカフェに来なかった……それだけですよ。あっ、コーラお代わりで」
「なるほど…だから今日もイソレナさん、羽堂さんがいらっしゃらないんですね」
いつもはよくいるはずの羽堂の姿がないことに納得をした真夜がお代わりの樽コーラをパッチーに差し出しつつそう返す。
そして、ここまで誰も突っ込んでいなかった一言をつぶやいた。
「でも…確かイソレナさんと羽堂さんってまだ結婚していなかったような気が……」
「……あっ?」
後日、あれはイソレナに実は嫁がいるんじゃないかというデマが流れ大変なことになったことは……まああったりなかったり……



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