朝色の町における決闘は至極単純なルールで行われている。
5回殴り合って余裕のある奴が勝つ。言葉にすればたった1行で済んでしまう事柄に
命を費やす馬鹿共が、この町には多い。
そしてそう一人ごちる自分もまたその馬鹿の一人であり、現在進行形で馬鹿をやっている最中であった。
ヒュンッ
軽く聞こえる風斬り音からは想像も出来ないような鉄塊が耳元を掠め、数本の髪が宙を舞う。
あの剛剣がまともに入れば飛ぶだろう。比喩抜きではなく空を。
グルルルル
獣の息遣いに似た唸り声。大上段から振り下ろされた一閃を掻い潜り、互いの呼吸が聞こえるまでに近づいた間合い。
見上げれば、こちらを見つめる血走った眼。
一本先制。頂きましょう。
言葉にはせず。口惜しそうに顔をゆがめる友人に満面の笑みを浮かべる。
斜め下から切り上げた切っ先が、友の胸をえぐる。
「ああ」
紅の雨を浴びながら、何度味わっても慣れない感覚が身を走ることを感じた。
やはり、刀は切った瞬間が一番気持ちいい
「という訳で結構良いの入りましたけどまだ続けます?」
「………」
無言で方膝をつく興戦士に、高揚した気分のまま語りかける。うつむく興戦士の顔が歪むのが見えた。
まだ続けても良いが、今のは通常なら終わりにしてもおかしくない一撃だった。現に、興戦士の胸からはどくどくと黒い水…………血?が流れている。
……一部不思議な光景があるものの。あれだけ体液を損失していれば動けなくなっても可笑しくはないだろう。
勿論、望むのならば続ける。決闘では命のやり取りも行われるのだから。
「………ぃ……」
「はい?」
か細く呟くような声が耳に届く。問い返すと、興戦士は顔を上げ、両目から血?を流しながら叫び声をあげた。
「嫉妬の心は父心!押せば命の泉沸く!」
めきり、と音がする。興戦士の肉体が爆ぜる様に膨張していく。ふと見れば、先ほど受けた胸の傷はすでにかさぶたがはがれていた。
呆然と見守っていると、少しずつ筋肉が膨らんでいき、興戦士の体が黒く変色していく。
「ちょっwwおまwww」
「一人だけ薔薇の鎖に突っ込みやがってうらやましくない!うらやましくないぞぉぉぉぉぉぉ!!」
膨張し続ける筋肉が踊る。咄嗟に振るった刀が上腕二等筋に裂傷をつけるもすぐさま傷がふさがってしまう。
「2番!勝負は後4回だぁぁぁ!」
「勘弁してくださいwwwうぇっwwうぇwww」
2本に増えたしゃもじが雨のように降ってくる中。イソレナの戦いはここから始まるのであった。
結果?
あえて言うなら愛の勝利だろう
あとがき
前のあれだけじゃ流石にあれなんで。イソレナさんのネタ振りアンサー。美味く料理できず申し訳ないw