なんでバレた

 これは、どうしよもない衝動だ。
 絆の証と言われたら、やらずにはいられない。
 それに、愛しいモノの姿なら、どんなものでも記憶していたい。
 この限りある生の中、少しでも多くのあなたを。この脳髄の奥まで。
 だから仕方ない。
 仕方ないの。

 言い聞かせた少女は、眠る伴侶の額をそっとあらわにし。

「エレ。なにするの?」
「メ、メティー。どうして、じゃなくて。なんでもないよメティー。
 兄さんが額に肉と書きあうのが絆の証とか言ってたなんて関係ないよ?」
「…書きあうの?」
「お互いに書きあうの。…ってことは、関係ないのよ?」
「…ああうん。そういうことにしておくよ」
 視線を泳がせての弁解に、メティーはふっと苦笑して、彼女の髪をかき上げる。
 そうしてあらわにした額に、口づけを一つ。
 どうせならこういうことに方がいいな、という甘いささやきは。
 赤い顔でふらりとかしいだ彼女には、聞こえているのかどうか。非常に怪しい話だった。



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