指をからめて、彼女の瞳を見る。少し潤んだ瞳と、私の瞳が交差した。
切なそうな吐息。私の、枯れたと思っていた情熱に火がともる。心拍数が跳ね上がり、心のどこか、奥の部分から覚悟を決めろと叫び声が聞こえる。
拳を握りしめて、私は彼女を抱き寄せた。ふわりと香るシナモンの香りが鼻腔をくすぐる。
万の宝に勝る宝物を、私は、この手で抱きしめる。すっぽりと、私の両腕に包まれた彼女の耳元で、私は近いの言葉を彼女にささげる。

うんめいがふたりをわかつまで。
―そんな日が来ないことを祈りながら。
つらいときもたのしいときも
―いついつまでも続く願いをこめて。
たましいがともにあることを
―来世というものがあるのなら来世まで。その先があるのならその先まで。
――は、――と共にあることを誓う。
―輪廻の果てまでも共にあることを。

千の月日が流れても。
本当に大事な事だけは忘れない。
喉が枯れはてるまで叫んで。
万の時を走り抜けて。
全てに終わりが訪れたとしても。

指先を絡める。小指と小指をつないだ、小さな架け橋。
切れてしまいそうで切れない橋をつないで、私は静かに笑った。
つられて笑う彼女と、
たがいに笑みを浮かべて、そして約束を交わす。



指、切った。







「なんて臭い台詞を考えてみたのですがどうでしょうかポコス君」
「これ、咲良に言うんだよな?」

呆れてものも言えないと言わんばかりのポコスにキリッとした表情で太陽が「オフコース」と笑う。
太陽の詩集、さくらさくらと銘打たれたノートの、最初のページに乗っていたこの文字の羅列にポコスはあー。でも、うー。でもなくえーっ。という表情を浮かべてぽりぽりと頬をかく。
何というか、反応に困る。一番反応に困るのは、見せている太陽がものすごく顔を赤くしている事であろうか。
珍しい表情を見たものだと思いつつ、まさかこれ結婚式の場で読み上げるつもりじゃないだろうなこいついや待てマジでありえるぞ。と嫌な予感に背筋を振るわせる。

「つまり、今この時の返答で『結婚式の悪夢!花婿の血で彩られたウェディングドレス編』に突入するフラグが立つ、と」

さらりと登場する店主におい、とポコスが突っ込みを入れた。

「思考を読んでくるなよ」
「時にさっきフロアーから咲良さんが凄い勢いで厨房に飛び込んできたんだけど」
「フラグ経ってる!」
「照れますなぁ」
「じゃねえだろ!」

あさまちはきょうも平和らしい。






あとがき
なんにんきづいてくれるか




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