太陽の職場、というか探偵事務所的な所にて。

53.舞 ― 浮かれてると周りが見えなくなる話 ―


「……」
「……」
「おーい」
「……」
「こら、太陽。仕事しろ。忙しいから俺呼んだんじゃないのかよ」
「……」
「……あ、咲良だ」

 がばっ

「……ポコス君。偽証罪で訴えますよ」
「これぐらいで罪に問われるなら刑務所は今頃満室だろうが」
「全く、私の至福の時間を邪魔して、何がしたいのですかポコス君?」
「さっきから気持ち悪いイイ顔しやがって、気になるだろうが」
「ふ、ふふふん、ならちょっとだけ見せて差し上げます」
「どう……も…………」


「……」
「……何だこれ」
「どうも、嬉しい事があったらしく……」
「ああ……そうか……喜びの舞か」







「……こういう所が可愛いよな、あいつも」
「でしょ……!?」
「……? どうした、自慢しないのか?」
「さ……」
「?」
「咲良さんは私の嫁です!! いいいくらポコス君でもむしろダメです!」
「何の話だ。いつの間に式上げてたんだよ、お前ら教えろよ、水臭いな」
「え、あ、HAHA、い、今のはその……きゃーっ」
「男がキー高い悲鳴上げても気持ち悪いだけだぞ、太陽」
「……。……ポコス君」
「何だ?」
「貴方……本当につまらない男になってしまいましたね……」
「……そうか?」
「昔のポコス君に戻れ―ぴぴるぴるぴ――」
「撲殺したって戻らないぞ!? むしろ悪化するだろう、普通」
「む……」



「……お前ら、さっきから何ヒトの話で盛り上がってるんだ?」
「!?」
「あ、咲良。いつからいたんだよ、お前」
「ちょっと前だけど……何を見ているんだ?」
「え、あ、これは……」

 ひょい

「「あ」」
「……」
「……か、可愛らしかったもので……」
「俺はその場にいなかったけど……まあ、可愛いという点は同意」
「…………」

 ばきょ

「「あ」」
「わ……わ、忘れろーーーー!!!」


 本日の出費:109800G
  用 途 :消音デジタルハンディービデオカメラ購入


「……懲りない奴だな」
「使用目的は、咲良さんだけじゃありませんから」
「そうか……。……おい、そこに俺はいないよな?」
「え。いない理由が分かりませんね」
「……」
「あ、そうそう。ポコス君のご主人が映ってるのもありますよ?」
「全部俺に譲れ」
「いやん怖い」
「……」

 交渉は十分近く行われたそうな。



back