午後のお茶会
4人がそこに集まったのはただの偶然だった。
ダニと執事は午後のティータイムを緑に囲まれた公園で過ごすため。ポコスは唐突に出来た空き時間を消化しようとぶらぶらとしていた所でダニと会い、折角だからと相席し、咲良はポコスの姿を見かけ、声をかけようと近づいた所を執事に捕獲されて席に座らされた。
唐突に起きたお茶会。公園の片隅に置かれている切り株で作られたテーブルと椅子に4人は腰掛け、紅茶の味と香りを堪能しながら会話に花を咲かせていた。
普段は執事と二人で静かに紅茶を楽しんでいたダニが、こういったお茶会も良い、と心の中で頷いた時、唐突にポコスが口を開いた。
「最近、ダニって太陽に似てきたよな」
カシャン、と音を立てて、ダニの手から滑り落ちたティーカップが割れる。
カップから零れた紅茶がダニのズボンを濡らすが、ダニはそれに気づいた様子もなく、カップを持っていた右手を口に近づけて、そこに何も無い事に気がついて言った。
「執事、お代わりをくれ」
「動揺してるな〜」
咲良、俺も同感だ。とポコスは思った。
「で、寝言の理由は何だ。 んん?」
「寝言って……いや、まあなんだ。前々から思ってたんだけどさ」
ダニは新しく淹れ直した紅茶を口に運びながら言った。その言い草にポコスは若干頬を引き攣らせながら答える。
「口調がさ、似てくるんだよ。何となく。なが〜くあいつと関わっている人ほど顕著になるんだけど。
お前の家の連中は多かれ少なかれあいつからの影響がでかいから、余計にそう思う」
思い出すようにポコスはそう口にした。
「あ、それ。私も何となく感じたことがある」
「ブルータス、お前も……いや、何でもない」
「………そういう所が似てると思うんだがなー」
まさに墓穴である。
「………何という屈辱。この俺が、奴などに影響を受けるとは……」
「いや、その。実際、ああいう灰汁の強い奴と接してると、影響されるのはしょうがないと思うぞ?」
屈辱に沈むダニを、何とかフォローしようと必死に言葉をかけるポコス。
その様子を一人眺めていた執事が、徐に口を開く。
「……その論理で行くなら、最も身近でべたべたとくっ付いている咲良さんが一番影響を受けている事になりますね」
「ふえっ、わ、わたし?」
唐突に矛先(舌先?)を向けられて、咲良が戸惑いの声を上げる。
しかし、うわさ好きの近所のおばさんと化した執事の「何でも知ってますよ。きりきり吐きなさい」と言わんばかりの視線とプレッシャーに抗うことは出来ない。
「最近、自覚してきた影響……とかでも良いのか?」
「問題ありません、ノープロブレムです」
「それは同じ意味だ妹よ」
戸惑いがちに3人を見る咲良に、執事が頷いて答えを返し、それにダニが突っ込んだ。
良い連携である。
執事の返事を聞いて覚悟を決めたのか、咲良は一つ頷いてから話を始めた。
「実は……つい最近、太陽から指輪をもらったんだ。」
いきなりクライマックスかよ
とポコスは思ったが、口に出すことは無かった。
「私、とっても嬉しかったんだ。太陽も、照れ臭そうに笑いながら、笑ってて……その。
何というか、幸せ? って奴。を感じてた」
ど惚気が来たなぁ
とダニは思ったが、口に出すことは(略
「でも、とっても不安になったんだ。太陽は、あんなだから。もしこれも、手の込んだ悪戯だったらどうしようって思って。
指輪の形をしたお菓子ってあるだろ? 『冗談です、さ。二人で食べましょう 』って言われそうで怖かった。」
太陽兄さんはチキンですからね……
と執事は(略
「だから、言われる前に食べれば本物でも偽者でも問題ないと思って食べたんだ」
「「「いやいやいやいやいやいや」」」
てへ、と笑う咲良に、3対の突込みが入った。
口調を飛び越え、発想の飛躍っぷりが似てきたカップルであった。
終わり。